乞はんに従う
「乞はんに従う」という言葉がある。この言葉良く分かりませんでした――という書き出しで始まるブログの記事からトラックバックをいただきました。
確かに少し難しい言葉ですが、毎週、情熱大陸をご覧いただいている熱心な視聴者の皆さんなら聞き覚えがある人も多いでしょう。この聞きなれない言葉は『庭師・平岡佳道』篇の放送の中で紹介した、平安時代末期に書かれた日本最古の庭園書『作庭記』にある言葉です。
『乞う』というのは『何かをしてくれるようにお願いする』という意味ですから、文字通りに解釈すれば、この言葉は「お願いされたとおりに従う」ということになります。もう少し今風の言葉で言えば「リクエストに応える」といった感じでしょうか。
つまりは『庭造りの極意は、石の望んでいる通りに石を立てること』といったような意味らしいのですが、それでもまだわかったような、わからないような。どこか騙されたような感じのする言葉です。だって、ほんとうなら生き物でもない庭石が何かを望んだりするなんてこと起こるはずありませんからね。
一方で、当の平岡さんは番組の中でこんなことをおっしゃっていました。
「自分の仕事でその場の空気が変わる」
鰻屋の入り口に竹を五本飾っただけで、その場所の雰囲気をがらりと変えてしまったのを目の当たりにした私たちは、この言葉にうなずく外ありませんでしたよね。けれど、さらりと言ってのけてはいるものの、『その場の空気を一変させる』なんていうのは、誰にだって出来る芸当という訳ではありません。
それはやはり、いにしえの極意「乞はんに従う」が教えてくれるように
「ここにこういう風においてほしいなあ。そうするとイイ雰囲気のメッセージを自然と送ることが出来ると思うんだけどなあ」
そんなリクエストを5本の竹から聞き取って、素直にそれに従うことができたからこそ――ということ、になるのでしょうね。
その場の雰囲気を一瞬にしてがらりと変えてしまうのが超一流の仕事人――そんな風に考えると、サッカー選手にしても、俳優にしても『なるほど』と頷ける部分があります。そういえば、わたしたちはそんなスーパースターたちのことを『華のある選手』『花形役者』なんて『花』という言葉を付けて呼びますよね。このあたりもどこか庭師の極意と通じているのかもしれません。
ご紹介したブログには
「この『自分の仕事でその場の空気が変わる』という言葉が一番。KY(空気が読めない)なんていってる場合じゃない」
なんて感想も書かれてありました。
確かに、ちょっとばかり仲間内の空気が読めなかったからといって人間同士で皮肉ったりからかったりして騒いでいると、野山の立派な石や草木からも
「俺たちの心の声を聞くココロの耳も持っていないくせに、解ってないねえ」
なんて哂われてしまうかもしれません。
まもなく春。
人間同士の空気ばかり読んでいないで、雪解けの水の流れる音や、嬉しそうに空に戻る鳥の鳴き声など、自然の声に耳を傾けてみるのもいいかもしれません。
3月 14, 2008 みんなの情熱大陸 | Permalink
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/151343/40483618
この記事へのトラックバック一覧です: 乞はんに従う:
» 突然春は来る!?情熱大陸+P トラックバック おしゃべりしゃべり
ブログは、続ける事に意味があるみたいです! 読む、聴く~もうひとつの『情熱大陸』 情熱大陸+Pで、このブログのおしゃべりしゃべり記事が取り上げられました。 記念すべきページは、こちら。 http://jounetsu.cocolog-nifty.com/plusp/cat5764147/index.html ダウンロ..... 続きを読む
受信: 2008/03/21 19:13:29






コメント